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甲状腺について

甲状腺とは…

甲状腺は、のど仏の下にある蝶々のような形の臓器です。大きさは15~20g程度で甲状腺ホルモンを産生しています。甲状腺ホルモンは体の代謝や成長を調節するホルモンです。

 

●甲状腺ホルモンの異常
甲状腺ホルモンが不足(甲状腺機能低下症)すると代謝が悪くなるため、元気がなくなり、疲れやすく、寒がり、便秘、皮膚の乾燥、むくみ、物忘れなどの症状が出てきます。逆に甲状腺ホルモンが過剰(甲状腺機能亢進症または甲状腺中毒症)になると脈が速くなって動悸がしたり、暑がりで汗をたくさんかいたり、手が震えたりします。食欲は旺盛でたくさん食べるのに体重がどんどん減っていき、小児では落ち着きがなく、学力が低下したりすることもあります。
甲状腺ホルモンの異常は糖代謝や脂質代謝、血圧などにも関係していて、生活習慣病の原因になっていることもあり、うつ病や更年期障害など他の病気と間違われることも少なくありません。
また、甲状腺の病気は女性に多く、女性のライフサイクルとも密接に関わっています。

甲状腺の病気(甲状腺ホルモンの異常)

●甲状腺ホルモンの過剰(甲状腺中毒症や甲状腺機能亢進症)

1, バセドウ病:甲状腺機能亢進症の代表的な疾患です。甲状腺を刺激する抗体(抗TSHレセプター抗体)が甲状腺に作用して甲状腺ホルモンが過剰に産生されます。多くは血液検査や超音波検査で診断可能ですが、診断が難しい場合はシンチグラフィーが必要になることもあります。治療は薬物療法、アイソトープ治療(放射性ヨード内用療法)、手術の3種類があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。

2, 無痛性甲状腺炎:甲状腺内に蓄えられていたホルモンが炎症によって漏れ出て、一時的に血液中の甲状腺ホルモン濃度が高くなります。多くは無治療で改善しますが、動悸などの症状が強いときは脈を遅くする薬を使うことがあります。もともと橋本病がある人や出産などを契機に発症することがあります。何度か繰り返すこともあります。

3, 亜急性甲状腺炎:無痛性甲状腺炎と同じように甲状腺が破壊されて一時的に血液中の甲状腺ホルモン濃度が高くなります。上気道炎をきっかけに発症することがあります。頚部(甲状腺)に痛みがあり、痛みの部位が移動することがあります。治療は解熱鎮痛抗炎症薬やステロイドの内服が必要です。

4, 機能性甲状腺結節(プランマー病):通常はホルモンを産生しない甲状腺の結節が甲状腺ホルモンを産生する病気です。甲状腺ホルモンの産生を抑える薬物療法もありますが、根本的にはアイソトープ治療(放射性ヨード内用療法)やエタノール注入療法、手術が必要になります。

 

●甲状腺ホルモンの不足(甲状腺機能低下症)

1, 橋本病(慢性甲状腺炎):甲状腺機能低下症の原因となる代表的な疾患です。甲状腺に対する自己抗体によって慢性的に甲状腺で炎症が起こる自己免疫疾患です。橋本病は非常に頻度の高い疾患で成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人に見られますが、橋本病のうち甲状腺機能低下症に至るのは4~5人に1人未満とされており、多くは治療の必要はありません。甲状腺機能低下症になった場合には甲状腺ホルモン剤の補充療法を行います。

甲状腺ホルモン検査を受けましょう

甲状腺ホルモンは、成長や発達を促し、新陳代謝を盛んにする身体に不可欠なホルモンです。甲状腺ホルモンが過剰になったり、不足したりすると、全身に様々な症状が現れます。

 

 
甲状腺の病気は女性が多く、女性のライフサイクルとも密接にかかわっています。

こんな症状があればご注意ください

● 甲状腺ホルモンの過剰




 

 甲状腺ホルモンの過剰




首にしこりを感じた時

甲状腺のしこり(結節)の多くは良性で、経過観察で十分なことが多いですが、中には悪性(甲状腺がん)だったり、甲状腺以外の腫瘍(悪性リンパ腫やがんのリンパ節転移)であったりするので、しこりが気になるときには甲状腺専門病院での検査をお勧めします。

当院は日本甲状腺学会の認定施設です

当院は青森県では数少ない日本甲状腺学会の認定施設です。
バセドウ病や橋本病などの甲状腺機能異常に対する薬物治療や、甲状腺のしこりに対する検査、診断を行っています。
また、院長は日本内分泌外科学会の指導医・専門医の資格を有し、手術が必要な場合は八戸市民病院に出張して手術を行っており、手術前から手術後の経過観察まで一貫した治療が受けられます。